[Hardware] DL380e Gen8を少し静かにしたい

オンプレミス-技術のお話し

割とうるさい25SFFモデル

過日に知人から頂いたProLiant DL380e Gen8。

上段にあるのがHP ProLiant DL380e Generation8


最初不動品の状態からスタートしたのですが、アレイコントローラの修復やリプレイス、ディスクの積み込みを行ってだいぶまともに動くようになってきました。が、ここ最近まで余りちゃんと動かせない状況が続いてました。何故かって

ファンの音がうるさい

これにつきます。
通常のDL380e Gen8ですとここまでうるさくなりません。例えば8LFF,16SFFモデルであればそれほどうるさくなく、恐らくDL360eと同程度の音ぐらいで済んでいるものと推察されます。ですが今回頂いておりますのは25SFFという25本のディスク搭載が可能な少々立派な機種です。これにはちょっとした特性があります。

そう、ファン回転率の下限が35%に決まっているのです。これが割とうるさい。DL360eやDL160と比べても相当なノイズで耳障りなため、ずーっと今日まで停止をしていた次第です。

当時のHP2ソケットサーバのファン構造

当時のHP製2ソケットサーバのファンは基本的な作りは同じものになっていて、以下のようになっています。

冷却ファンのピンアサイン図

ファンを駆動させるための電力が供給されるのは1番ピンと対応付いてる赤いケーブル、回転数を調整するパルスが流れているのが3番ピンと対応付いている青いケーブル、5,6番紐付く黒いケーブルはアースです。そして、4番と対応付いてるケーブルは回転状態を監視するPWMと呼ばれるケーブルです。

使用されているファンはDELTA社のPFR0612XHEと言う最大回転数16,500rpmのファンです。
寸法は60x60x38であり、12V駆動、PWM対応の4ピン構成です。これが6ピンコネクタに変換されてシステムボードに接続されています。

これをどっかの適当な静音ファンに入れ替えれば・・・・と考える人も居ると思うのですが、実はこの中の黄色い信号線はそこら辺で売られている一般的なファンにはないケーブルで、ここで得られる信号はコネクタとシステムボードを伝わってiLOへ情報が届くようになっています。iLO側では回転数を認識しており、もしこちらに信号が届かなくなった場合「ファンが止まった」と認識して、その数によってはサーバの電源ONすらまともに出来なくなるため、交換って実はそう簡単でもないです。

しかし、どうやらこのピンアサインを変更し、PWM信号線をアースと直結させてしまえば、実はiLOはファンの停止を検知せず正常動作していると誤認することが判明しました。この特性を使用してサーバの静音化に挑んでみることにしました。

交換するファンについて

交換するファンで注目したポイントとしては

  • 寸法が同じであること
  • 出来ればメーカーは同じにしたい
  • 駆動電圧は同一のもの
  • 駆動電流量は現行より低いもの
  • 回転数上限は現行より低いもの

結果として選んだのは、DELTA製のFFB0612HHEと言うファンです。2個買いました。ヤフーショッピングにて販売されていまして、私が購入した店ではコネクタを好きな形にしてくださるとのことだったのですが、そもそも元々のファンについてる6ピンコネクタに接続する必要があったため、無加工で発送するようお願いしたら、最もベーシックな3ピンコネクタがくっついた状態で送付されました。まぁまぁ特に問題はございませんで。

このFFB0612HHEは最大回転数が5,050rpmだそうで、既存のファンと比べるとおよそ1/3以下です。こりゃ静かになるやろーと考えてこれにした感じです。なお、同寸法で一番回転数が低いDELTAのファンってこれだけでした(もう一つ型番はあったけど、どこにも売られてなかった)

FFB0612HHE

ピンの付け替え

ピンの付け替え方ですが、PFR0612XHEの外側を包むフレームを外します。これが意外と難しい。私は一部フレームを折って力業でばらしています。

サーバ取り付け用のフレームを外された既存ファン(爆音ファンです)

そして、以下のように6ピンコネクタと接続されているので、これをはさみでちょん切ります。

フレーム側にある6ピンコネクタとファンの繋がり

既存ファン(PFR0612XHE)とFFB0612HHEの端子の役割の違いについて以下の通りまとめています。

既存ファンと入れ替えファンの違い、結線方針

つまりは、黄色い線もアースとまとめてしまえばいいわけですね。今回、この対応については半田付けがどうしても必要だなと感じられたので、思い切って半田ごてをかうことにしました。

25年ぶりに半田ごてを触る

本日近所のハンズマンでこんなのをかってきました。

  • 半田ごてセット(半田ごての出力は30Wタイプ)
  • 半田
  • 絶縁用ビニールテープ
  • 半田ごてスタンド(あまりにセットのスタンドがしょっぱかったから)
  • ヒートクリップ

実は私、中学時代に2席ラジオとかは作ったことがあって、半田ごては触ったことはありますが、当時父に買って貰った際いくらかかるのかを知りませんでした。まさかの半田ごてセットが700円程度、アレってそんなに安かったんだね・・・・って思いながら品揃えを眺めてました。

さて、これらを使って結線を行っていきます。半田付けが完了したら絶縁ビニールテープでぐるぐる巻きに。
持病のせいもあり、まぁまぁ手が震える。何度かやけどしましたけど、何とかケーブルはくっついてくれました。

ふるえるお手々でエンヤーコーラ

本当はヒートクリップって熱伝導を緩和するために使うクリップなんですけど、とにかく手が震えてどーにもならないのでこれでケーブルを固定したりしてました。

実践

では、ファンの入れ替えを行い、正常に動作するかを見ます。今回2個しか買ってなかったので、特にうるさかった4-6番ベイの3つのファンの内2つを変更しています。何故うるさいファンがそこに集中してるかって、当方のサーバが1CPU構成だからです。熱源がサーバに向かって右側に集中してるので、そこの回転数が上昇するのだろうと予想しています。

ファンの入れ替え位置

今回こうして敗戦とファンを組み替えたユニットを6つあるベイの内4番ベイ、6番ベイに配置し、1,2,4番ベイには既存ファンを取り付けてます。その結果は以下の通り。

ファンステータス

上記を見ると、全てのファンステータスが「OK」になっており、交換したファンは仲良く35%出回っていることになっています。このとき、上蓋を開けて風が本当に吹いているか確認しましたが、どうやらちゃんと吹いているようで、それもなかなかの風量でした。

そしてノイズですが、かなり低減されました。少なくともファンの共振が減りました。今のところ、27%回転で駆動するDL160やDL360eと余り変わらないぐらいのノイズで済んでいるので、何とかこれで24時間駆動をすることが出来そうです。

なお、Youtubeで誰かが動画で披露してたんですが、4-6番ピンのショートを活用することで、そもそも冷却ファンを「抜く」と言うことも可能です。ただこれは、冷却能力が大幅低下することになるので、余り簡単にそうするのは良くないかもしれないです。ただ、ファン障害時、それが100%でブンまわったら死ねるんで、それを一時的に改善するべくピンショートで沈静化させるという手段はあるかもしれないです。

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